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2023.11.22

雪を眺めながら日本酒を飲む!雪見酒について解説します【渡辺酒造店】

晴れている日の飛騨の雪景色

日本有数の豪雪地帯・飛騨。

飛騨をはじめ、全国の雪深い地域には、美味しいお酒が揃っています。
綺麗な雪解け水が流れ込み、上質の米が育ちやすくなることに加え、
湿度と温度を低温のまま安定させることによって、日本酒の寒造りに適した環境をもたらしてくれます。

日本酒を育む美しい雪景色と一緒に、日本酒を楽しんでみませんか?

合掌造りの民家と雪 カニと酒 郷土料理と熱燗

 

■雪見酒とは?

雪見酒とはその名の通り、雪降る景色をゆっくりと眺めながらお酒を楽しむことです。
雪や花のように、自然が生み出す産物を愛でるお酒は、以前より親しまれてきました。
兼好法師は『徒
然草』のなかで、酒を飲むことの戒めを大いに説きつつ、それでも捨て難いこととして

「月の夜、雪の朝、花の本にても、心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり。」

と記しています。

自然の美しさを近くに感じながら日本酒を飲むことは、古くから日本人の中に刻み込まれた本能のようなものなのかもしれません。

仕込みをしている蔵人 雪の降る酒蔵の正面入口

 

■雪見酒の楽しみ方

 1.熱燗

熱燗とは、お酒を温めて飲む楽しみ方です。
湯煎や電子レンジなどで温めるのが一般的で、30℃~55℃あたりの温度帯まで温めるのが一般的です。

それぞれの温度帯で…
日向燗(30℃前後)、人肌燗(35℃前後)、ぬる燗(40℃前後)、上燗(45℃前後)、
熱燗(50℃前後)、飛び切り燗(55℃前後)と呼び方が違うのです。

日本酒は、温度を変えることで風味が変化します。
熱燗にして温めることで、まろやかでふくらみのある味わいになるとともに、
湯気と合わさってお米の豊潤な香りが広がり、深いコクを楽しめます。
また、身体をじんわりと温めてくれるので、冬の晩酌にぴったりな飲み方です!

 2.冷酒

冷やとは、常温の日本酒のことで、温度帯としては20℃前後になります。
外気温によって左右されますので、冬場はキリっと冷たく、夏場は口当たりの良い温度で楽しめるのが魅力です。

冷蔵庫がない時代は、日本酒の飲み方は”温める”か”常温”かの2択しかありませんでした。
だからこそ、冬時期に外気や雪の中でキンキンに冷やされた日本酒は、暖かい部屋内や温泉に浸かって、
降り積もる雪を眺めながら飲むのにぴったりで
す!

日本酒の長い歴史を感じながら、日本酒本来の旨味や香りが楽しめる冷やの日本酒は格別です。

一面の雪景色 お酒とガラスのお猪口

 

■雪見酒エピソード

飛騨地域は、長く厳しい冬を乗り切るために、昔から保存食は欠かせないものとなっております。

古くなって酸味が出てきた漬物を、卵とじなどで調理した”漬物ステーキ”、水分を適度に抜いた硬めのお豆腐”こも豆腐”、
自家製味噌やきのこ、お肉などを朴葉の上に乗せて焼きながら食す”朴葉味噌”など、特に味つけの濃い食べ物が多い傾向
です。

そのため、飛騨地方で飲まれている地酒もやや甘口で、熱々の燗酒にして飲むのが地元での主流だそう。
弊社の社長渡辺のおすすめは、一面の雪景色を眺めながら、あたたかいお鍋やお刺身、郷土料理などと一緒にゆっくりと
お酒を楽しむのが、
一番飛騨の風情を堪能できるスタイルだそうです。

雪の中に並ぶ蔵人 雪の中に置いている日本酒

 

皆様、いかがでしたか?

渡辺酒造店では、造っているお酒には様々なタイプがありますが、
きりっと冷やして香りやキレを楽しむ純米大吟醸や吟醸酒、ほっこり人肌燗で飲む純米吟醸酒、
寒い日にこそ沁みわたる熱々の燗酒など、冬の季節に雪見酒として楽しめるお酒は、
スタイルに応じて沢山あります。

ぜひ、お気に入りのお酒や飲み方で、寒い冬だからこその美味しさを、皆さんで楽しみましょう!

 

ー参考文献ー
書籍:「日本酒の基礎知識」
2017年 新星出版社
WEBサイト:「暦生活 季節の日本酒」
https://www.543life.com/nihonshu/nihonshu-12.html
WEBサイト:「VOKKA」
https://vokka.jp/10702
WEBサイト:「KUBOTAYA]
https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/know/93#item4026

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