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2022.5.17

10月1日は日本酒の日!! ”お酒の日”の由来について解説 
【渡辺酒造店】

もろみ袋しぼりの様子

 

皆さんは、毎年10月1日が「日本酒の日」として定められていることをご存じでしたか?

あまり聞き慣れない記念日ですが、お酒が好きな人にとっては何だかとても嬉しい日ですね!
今回は、「日本酒の日」について、その制定の由来と楽しみ方をご紹介いたします。

 

水に浸る手と米

 

日本酒の日を制定した団体とは?

 

日本酒の日は、1978年(昭和53年)に、日本酒造組合中央会が制定しました。
日本酒造組合中央会とはどのような組織かと言いますと、公式サイトに以下のような記述があります。

”日本酒造組合中央会は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年2月28日法律第7号。以下、「組合法」という。)
に基づき、酒税の保全及び酒類業の取引の安定を
図ることを目的として設立しました。

会員同士の緊密な連絡による親和と、相互の協調する精神に基づき、酒税の円滑な納税を促進し、
酒類業界の安定と健全な進捗、発展のために必要な事業を行い、自主的、且
つ、自由公正な事業活動の振興を期すると共に、
酒税の保全に協力し、共同の利益の増
進を図ることを目的としています。”

とても難しく書かれていますが、お酒の販売に関する税金の保全と、酒類業界の安定・発展を目的として設立された団体のようです。

杉玉 杉玉を運ぶ蔵人

 

10月1日に決まった経緯と理由

では、日本酒の日はなぜ10月1日に制定されたのでしょうか。
その理由は2つあるといわれています。

ひとつは、多くの酒蔵で本格的に酒造りが始まる日であることです。
10月に入ると新米の収穫が始まり、全国各地の酒蔵で日本酒造りが始まります。
日本酒の業界では、一般的な年度とは異なる「酒造年度(BY:Brewery Year)」という暦が採用されており、
毎年7月から翌年6月までがひとつの年度として定められています。
しかし酒造年度も従来は、毎年10月から翌年9月までとされていました。
元々、10月1日
は日本酒にとっての年明けの日、いわゆる元日だったのです。

もうひとつの理由としては、十二支が関係しています。
それぞれの干支は各月に当てはめられており、10月は「酉(とり)」です。
この「酉」という漢字は、「酒」という漢字のつくりにも含まれていますが、もともと象形文字で、
徳利のような酒壺やお酒そのものを意味していたのだそう。

のちに、水や液体を表す氵(さんずい)が付いて「酒」という字ができたようです。
余談ですが、人々が仕事を終え、お酒を楽しむ時間帯・午後5時〜7時は「酉の刻」と言います。

以上の2つの理由から、10月1日が「日本酒の日」として制定されたのです。

 

日本酒の日に込められた意味

古くから日本人に親しまれてきた日本酒は、日本の文化とも言える飲み物の1つです。
日本酒の日には、「日本酒を後世に正しく伝えよう」という考えや、「日本酒が人々にさらに愛されますように」といった願いが込められています。
制定されて40年以上が経過した現在、毎年10月1日は全国の日本酒ファンが、思い思いのお酒を楽しむ日として浸透しています。

新酒ときのこ

 

10月は、特に日本酒がおいしい季節

酒蔵は秋から厳冬、春にかけて日本酒の仕込みを行います。
火入れして貯蔵タンクで寝かせられ、涼しい酒蔵の中で夏を越したお酒は、時間をかけてゆっくりと熟成していき、10月頃に芳醇なお酒に仕上がります。
また、熟成したお酒だけではなく、10~11月にかけて、出来たて搾りたての新酒も登場し始めます。フレッシュな新酒も楽しめる時期です。
旬の食
材とともに楽しむ日本酒は、より一層美味しく感じるはずです。

新酒が解禁となる手前の時期で、「ひやおろし」や「秋あがり」と呼ばれる日本酒が登場するのです。
「ひやおろし」とは、お酒の状態を指す言葉です。
春に搾ったお酒を1度だけ火入れした後、
夏の間に熟成させ、2度目の火入れをせずに出荷するお酒のこと。
まろやかな旨味に加え、生の味わいも堪能できます。

「秋あがり」とは、同じようにお酒の状態を指す言葉。春に搾ったお酒が夏を越して熟成し、
“秋になり旨味が増した”状態を「秋あがり」と呼んでいるのです。
火入れは2度行っていることで、熟成したまろやかな深みを感じられます。

  →→ひやおろしと秋上がりについての詳しい記事はこちら←←

隠し酒とお刺身

 

日本酒の日の楽しみ方

日本酒造組合中央会では、毎年日本酒の日に合わせて、各都道府県の酒造組合、酒蔵、飲食店、酒販店などと連携して、
日本酒で乾杯するイベントを全国各地で行っています。

現在では、10月1日の19:00に日本酒で乾杯するのが通例となっているようで、都内では、同会が主催する大規模なイベントが開催されています。
イベントに参加するも良し、行きつけの店や自宅でも良し。

今年の10月1日「日本酒の日」は、ぜひ日本酒で乾杯してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

 

日本酒の日はお酒の美味しい季節が始まることを祝い、みんなで乾杯して日本酒を楽しむ日です。
なかなか集まって日本酒を楽しむというのはまだ難しいですが、好きな日本酒やおつまみを揃えて、
オンライン上でも大切な人たちとつながり、乾杯してはいかがでしょう。

それぞれ色々な楽しみ方で、今年の日本酒の日を盛り上げていきましょう!

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