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ブログ 蔵談義

25年ぶりの新しい風の巻

2021.1.21

下梶谷歩夢 事務
井ノ口晴稀 事務

遡ること約半年の平成年4月、渡辺酒造店に男性1名、女性2名、合計3名の新卒新入社員が誕生しました。驚くべき事に新卒採用は実に25年振りとのこと。3名とも飛騨生まれで飛騨育ちのフレッシュマン。これからの活躍が楽しみなところ。
今回はそのうち女性2名とインタビュー。まだ緊張感が初々しい18歳2名にお話をお聞きしました。

Q:まずは簡単に自己紹介をお願いします。
下梶谷:したかじたにあゆむと言います。住んでいるところは隣町の国府町です。昨年、高山市内の高山高校を卒業して今年の春から渡辺酒造店で事務をしています。
井ノ口:いのくちはるきです。住んでいるのは古川町内で渡辺隆専務の家の近くです。私も下梶谷と同じ高山高校を卒業して入社し、事務をしています。


Q:お二方とも事務への配属ということですが具体的にはどのような業務をされているのですか?
下梶谷:ウェブからの注文に対しての受注処理や発送処理が主な仕事です。
井ノ口:私は酒販店さまからの受注・発送処理をしています。あとは電話対応です。
Q:それでは少しウォーミングアップの質問が終ったところで、渡辺酒造店を志望したきっかけを教えてください。
井ノ口:高校3年生の春に高校が行った『飛騨市内の企業見学ツアー』がきっかけでした。とはいっても特に狙った企業があったわけではなく、ビジネス課だったので事務系でどこかいいところないかな…という軽い気持ちで参加しました。そしてその中でひときわ印象に残ったのが渡辺酒造店でした。渡辺隆専務の案内の下、酒蔵を見学したのですが、終始笑顔でおもしろおかしく説明をしてくれ、また他社員の方もとっても明るい人たちばかりで、よしもと芸人とのコラボ映像が流れていたりして…職種や業種に関係なく、ここで働きたいな〜と単純に思いました。
下梶谷:そんな早い段階からだったの〜?私は高校に各企業からの募集が集まりかけた夏くらいからがスタートだったかな。それで何回か就職課にその募集を見に行ったんですけどいまいちピンと来るものがなくて…。
井ノ口:最初、渡辺酒造店からの募集なかったでしょ〜。
下梶谷:うん、なかった。友達何人かが就職先が決まり始めて少し焦り始めた頃、やっと見つけた。
井ノ口:あれ、私が高校の先生を通じて取り寄せたんやよ。春のツアーで渡辺酒造って決めてたのに、募集票が来てなかったから先生を通じて出してもらうように頼んだの。そしたらしばらくして来たって感じ。
下梶谷:え〜そうやったの!?もしそこで取り寄せてくれてなかったら2人ともここにはいないんや〜。なんか変な感じ。
井ノ口:それにしても募集票といっしょに送られてきたリクルートパンフレット、インパクトあったよね〜。
下梶谷:あった、あった。私あのパンフレットに惹かれて渡辺酒造店にエントリーしたんやもん。他のは事務的なパンフレットって感じだったのに、一つだけ笑いを忘れていない異色なパンフレットが紛れてて…もう一目見て心奪われたね(笑)。
見て心奪われたね(笑)。

Q:それでは日本酒を造っている渡辺酒造店として、特にイメージはなかったのですか?
下梶谷:まだお酒が飲めないということもあり、特にイメージや先入観はありませんでした。ただじいちゃんが飲んでいた日本酒に『蓬莱』というロゴあったのは鮮明に覚えていて、ほうらいと読む事がわからないうちから日本酒には『蓬莱』と書いてあるっていうのが刷り込まれていたような〜。井ノ口:それ分かる〜。特にうちは古川だからさ、町を歩いても看板目にするし特に古川祭のときとかなんか絶対にあの2文字が目に入ってきてたもん。だから地元のお酒と言えば『蓬莱』みたいな。
Q:まだ一年経っていませんが、お仕事はいかがですか?嬉しい事、大変な事を聞かせてください。
井ノ口:もちろんまだまだですが、少しずつ一人でできることが増えてきました。新しい仕事を与えられた時や自分で考えて対応ができたとき嬉しさを感じますね。大変な事というわけではありませんが、まだ一人前でないので事務所の中で誰かの仕事を助けるという事ができず、忙しい先輩が忙しいままの状態なのが、もどかしくて少し辛い気持ちになります。
下梶谷:私もウェブ店長の塚腰さんのサポート役のはずなんだけど、聞いてばっかりで。ま、今では少しは手伝えているかもってくらいにはなったかな。
井ノ口:ウェブって大変じゃない?わかる?
下梶谷:ネットで物を買ったりしてたから大丈夫って思ってたんだけど、販売側ってこんなに大変なんだって分かった。注文する側だったときはボタン一つで明日や明後日に物が届いて便利だったんだけど、販売側は色々な仕事の積み重ねで物を届けていたんだって身を持って感じさせられてる。
Q:井ノ口さんと下梶谷さんの若い力で新商品を開発中とお聞きしましたが。
下梶谷:はい。とはいっても実はお酒ではなく、精米時に出る米ぬかをつかった鯉の餌そしてお土産品を開発中です。
入社して間もないころ先輩たちが、精米するときに出る米ぬかの処分が大変だという話を耳にしたのですが、実は私、高校で、米ぬかをニワトリの餌にする実習をしていたんです。そこで、古川の人気観光スポット、鯉の泳ぐ瀬戸川での鯉の餌にできるのではないかとアイデアを出したんです。そしたら社内で取り上げてもらい専務が市役所に掛け合い市役所の新入職員とともにプロジェクトチームが組まれるといった具合でどんどん進んでいきました。今は試作品も出来上り、あとはどのように製造・販売をしていくかという段階です。
井ノ口:米ぬかだけでは彩りがないので、地元農家さんにご協力を頂き、廃棄野菜を一緒に混ぜ込むことで見た目にもこだわりました。なかなかの出来なので、鯉の餌だけでなくもっと改良を加えて、人にも食べてもらえる土産物にまでしたいと思っています。

聞き手/村坂壽紀
高校卒業1年目ということで初々しさはあるものの中々しっかりした考えをもったルーキーだなと感じました。特に米ぬかを使った新商品開発に関しては、命令されたわけでなく、先輩の話を傍で聞いていてアイデアを出すとは新人離れしたエピソードでした。
渡辺酒造店は、新卒の新入社員の新しい風でもっともっと日本一笑顔とアイデアがあふれる蔵になる、そんな予感を感じさせてくれるインタビューでした。

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