
ホーム > 渡辺酒造店のお酒 > 板垣博司 引退記念スペシャル
板垣博司 引退記念スペシャル



「お前らはもう育った!あとは若い衆に蓬莱の味を守ってもらう」2013年のとある日、板垣杜氏は蔵人たちにそう語りました。
「145年の酒造りの歴史がある蓬莱杜氏には何人も侵すことができない聖域がある。わしは70歳を超えた。蓬莱の味を守り続けるという一線からは退かせてもらうよ。今後はわしの夢である酒米の研究開発をより学術的に進めていきたいのだ」故郷の岩手県に帰り、ひっそりと農業に従事し、酒造業界の発展のために研究をしたいという板垣杜氏の固い決意でした。
「ただ最後に造りたかった酒がある。わしの55年の酒造り人生の集大成だ。どうか力を貸してくれ!わしの最終作をこれまで関わっていただいた全ての人に味わってもらいたいのだ!」と蔵の奥深くから年季の入った分厚い本を持ってきたのです。
「こ、これは!」蔵人たちは驚きの声を上げました。その本は板垣杜氏が酒造りの世界に入ってから55年間、こつこつと作り上げてきた酒造りの仕様書(レシピ)だったのです。

そして板垣杜氏の引退が決まった日、渡辺久郎会長(78歳)が板垣杜氏に一言かけました。
『板垣さんが考える最高の酒を作ってみてくれませんか?お金に糸目はつけません。時間も好きなだけかけてください。板垣さんの作りたかった酒を思う存分作ってください』その日から板垣杜氏の引退酒造りが始まったのです。
普段は温和な板垣杜氏ですが、酒造りとなると鋭い眼光となり、特に引退酒造りの1年は、いつにもなく厳しい品質チェックが入りました。「ここまで酒造りに情熱を燃やすとは!」と蔵人たちは胸を打たれました。板垣杜氏のその生き様はまさに「生ける伝説」そのものでした。
そして引退酒が完成した当日、渡辺酒造店の蔵人、従業員のみで板垣杜氏の引退セレモニーが開かれました。
鏡開きを終え、板垣杜氏の引退酒が全従業員、蔵人にふるまわれました。その香り、風味、口あたり、どれをとっても最高傑作と呼ぶにふさわしい純米大吟醸ができあがったのです。
「うん!旨い!!我が醸造人生に一片の悔いなし」板垣杜氏は穏やかな表情で最後の超入魂酒を愉しんでいました。

■板垣博司 引退記念スペシャル
1500ml 1本 5,000円 (税込)